犬に咬まれた、猫に咬まれたという人が救急外来を受診した時に
抗菌薬投与はした方がいいのかな?
という疑問を解決するための記事です。
本記事はup to dateのAnimal bites (dogs, cats, and other animals): Evaluation and managementの記事を参考にしています。
目次
動物咬傷の予防的抗菌薬
- 縫合を要した創
- 手・顔・陰部の創
- 骨・関節(人工関節含む)に近い創
- 血管・リンパ系(人工血管含む)の病変の周囲
- 免疫不全(糖尿病含む)
- 深い刺創・裂創(猫咬傷など)
- 挫滅創
使用する抗菌薬はオーグメンチン(アモキシシリン/クラブラン酸)が好まれます。
起因菌としてP. multocidaや嫌気性菌が想定され、それらをカバーする経口抗菌薬として適しているからです。
投与量については欧米と日本ではオーグメンチン中のアモキシシリン含有量が違うので、文献の量をそのまま当てはめることができません。
米国:アモキシシリン500mg/クラブラン酸125mg
もしも欧米のオーグメンチンと同じ組成を投与するのであればオーグメンチンにサワシリン250mgを追加すること(通称オグサワ)で可能です。
ただ予防投与でそこまでの厳密さを求める必要があるかは不明ですので、筆者はシンプルにオーグメンチン3T分3を処方しています。
投与期間は3-5日が一般的です。
動物咬傷の縫合
- 挫滅創
- 刺創
- 猫咬傷(顔面以外)
- 手と足の創
- 受傷から12時間以上経過した創
- 免疫不全(糖尿病含む)
- 静脈鬱滞を伴う症例
犬咬傷による顔や体幹、腕、下肢の裂創については縫合は妥当と考えられています。
猫咬傷でも顔については整容面での問題が大きいため縫合は妥当です。
また縫合した場合は予防的抗菌薬を投与することが推奨されます。
まとめ
動物咬傷の予防的抗菌薬、縫合の適応についての考え方について解説しました。
リスクの高い創を理解して、適応を判断していきましょう。
迷ったら縫合しない、予防的抗菌薬を処方しておく、というのが無難かもしれません。