救急外来で時々経験するのが喀血です。
吐血に比べて頻度はやや低めですが、時に致死的となるため、鑑別を挙げれることや救急外来での対応を整理しておくことが重要です。
この記事を読むことで、
- 致死的喀血とは何かを理解できる
- 喀血の鑑別が挙げられる
- 救急外来での対応がイメージできる
ようになります。
「喀血と言えば結核くらいしか思いつかない・・・」という人はぜひこの記事を最後まで読んでください。
目次
致死的喀血(massive hemoptysis)かどうかの見極め
致死的喀血は論文などではlife-threatening hemoptysisとかmassive hemoptysisと表現されます。
致死的喀血は気道閉塞や呼吸不全、出血性ショックにつながる可能性が高いため、特に注意が必要です。
一般的には出血量で定義されますが、研究によって異なることがあり、24時間で100mlから600mlと幅があります。
実際のところ、患者さんが喀血した量を正確に表現できない事もあり、正確な量にこだわりすぎない方が良いかもしれません。
ざっくり100ml以上出ている可能性がありそうであれば致死的喀血の可能性を考えて対応するのが無難です。
ちなみにup to dateでは150ml/24hrまたは100ml/hrの出血があれば致死的喀血と考える(執筆者の考え)、との事です。
だいたい100ml以上出てそうであれば致死的喀血として対応する
喀血の鑑別
- 感染症(結核・肺膿瘍など)
- 腫瘍
- 気管支拡張症
- 肺塞栓
- 血管炎・膠原病(Goodpusture・SLEなど)
- 血管奇形(肺動静脈奇形など)
- 肺胞出血
- 鼻出血・消化管出血
「喀血と言えば結核」のようなイメージかもしれませんが、実際には結核以外にも喀血の原因となる疾患は多数あります。
ここで挙げたもの以外にもたくさんありますが、救急外来である程度想定しておくべき疾患として上記を紹介しています。
喀血への救急外来での対応
- ABCの安定化
- 出血源検索
- 止血処置の必要性を検討
ABCの安定化、とありますが喀血では特にA(気道)が問題となります。
出血量が多くなると、視野が確保できないため挿管困難となりえます。
原因にもよりますが、基本的に挿管は早めにしておくのが無難です。
出血源検索は造影CTで行います。
造影CTの結果を踏まえて止血処置としてBAE(気管支動脈塞栓術)を検討する事になります。
致死的喀血で無ければ、すぐに止血を要する可能性は高くないため、原因検索をメインで行います。
出血量が少なく、喀血の原因が肺塞栓など緊急性が高い疾患が否定的であれば、後日一般外来で精査という選択も可能でしょう。
まとめ
喀血の鑑別、救急外来での対応について解説しました。
まずは致死的喀血の可能性が無いかを評価することが重要です。
致死的喀血であればABCのうち特にA(気道)の確保の必要性を検討しましょう。
鑑別は無数にありますが、必ずしも救急外来で全ての検査を行う必要はありません。
致死的喀血でないのであれば一般外来での精査も妥当な選択となります。