【3分で読める】DKAの初期治療|救急外来での対応をシンプルに解説

研修医・若手医師

救急外来でDKAと診断した後の初期治療について、短時間で読めるまとめです。

ざっと流せば3分で読めます。救急外来で今すぐどうしたらいいかに絞って解説します。

up to dateの内容をベースにしています。

基本的に見出しの順番で対応すればOKです。

目次

最初に輸液を1Lして脱水補正

DKAと診断したらまずはじめることは輸液での脱水の補正です。

まずは最初の1時間で1L投与を目指しましょう。

その後は脱水の程度に応じて調節していきます。

教科書的には生食で、と書いてあるものが多いですが、リンゲル液でいいです。

むしろ生食はCLイオン濃度が高く、大量輸液すれば代謝性アシドーシスを助長する可能性もあります。

個人的には代謝性アシドーシスがある人にあえて生食を投与しなくてもいいかなと思っており、リンゲル液を使ってます。

DKAの誘因となりうる“3I”を除外

DKAの誘因となりかつ治療方針が変わりうるものを除外していきます。

“3I”の頭文字で覚えます。

  • Insline: 急性膵炎 I型糖尿病 アドヒアランス不良など
  • Infarction:心筋梗塞、脳卒中
  • Infection:肺炎 尿路感染 敗血症など

急性膵炎についてはDKAでも腹痛が出るので見落としがちです。

膵炎や感染症の除外としてDKAの症例で全身のCTを取ることは妥当です。

DKAで意識障害がある場合に高血糖や電解質異常のせいと決めつけがちですが、脳卒中も十分あり得るので頭部CTを考慮しましょう。

これら以外にもDKAの誘因はたくさんある(要は侵襲・ストレスが加わる病態)のですが、まずは上記の“3I”は必ず考えましょう。

インスリン持続静注を0.1U/kg/hrで開始

輸液1Lが入り終わったらインスリン持続静注を開始しましょう。

投与量が多くなるので、50単位/50ml生食(1単位/1ml)でシリンジポンプを準備してもらいましょう。

まずは0.1U/kg/hrで開始です。体重60kgなら6ml/hですね。

注意点として、最初は血糖がなかなか下がらないのですが、いったん下がりはじめると急速に血糖が下がります

これは糖毒性が解除されることによるもので、血糖が下がるにつれてインスリンの効果が強まります。

最初の投与量のまま継続してしまうと指数関数のような動きで血糖が低下します。

なので2-3時間おきに血ガスで血糖と電解質をフォローし、インスリンの減量をしていきましょう。

K補正を早めにはじめる

Kが3.3mEq/L以下になれば補正を始めましょう。

DKAの治療中はほぼ確実にKが下がります

理由は2つです。

1つはアシデミアが補正されるので細胞内へKがシフトします。

pHか0.1変化するごとにKが約0.5mEq/L変化するとされます。

2つ目の理由はインスリン投与によってやはりKが細胞内へシフトします。

up to dateの推奨では3.3以下であれば補正を開始となっています。

ですが、どうせ必ず下がりますしKは急速には補正できないので個人的には4mEq/L以下くらいから補正開始してもいいと思ってます。

up to dateでは20-40mEq/hで補正と書いてますが、各施設の基準があればそれに従ってください。

急速に補正する必要が無ければ

K20mEqを生食500mlに混注して2時間で投与(10mEq/h)が安全です。

AGが閉じるまではインスリン持続静注をやめない

血糖が下がってきたからと言ってインスリン持続投与をやめないこともポイントです。

DKAの人は基本インスリン欠乏状態なので、インスリンをやめるとケトアシドーシスが再燃します。

血糖300以下になったら点滴に糖を追加する。

血糖300以下を目安に点滴に糖を入れましょう

インスリン投与を継続するためと、急激な浸透圧変化による脳浮腫を予防するためです。

脱水の補正ができていれば、糖とKが含まれている3号液をベースにするのがおすすめです。

インスリン持続静注を終了する目安

AGが12以下(正常範囲に戻る)までが目安です。

そして食事が開始できそうであれば皮下注射でのコントロールへ移行しましょう。

まとめ

DKAの救急外来での初期治療について解説しました。

ポイントは十分な輸液と、K補正を早めにはじめること、インスリンをすぐにやめないことです。

詳しく読みたい人はup to dateも参照してください。