救急外来での問診のコツ|痛みの問診の型など4つのコツを解説

研修医・若手医師

救急外来の診療でも一般外来と同様に問診が重要です。

時間の限られた救急外来で、必要かつ十分な問診を取るにはコツがいります。

ここでは救急外来の初心者向けに、問診のコツを4つに絞って解説していきます。

特にこれから救急外来で働く研修医の先生には必ず読んで欲しい内容です。

問診のコツ①問診(病歴)をとるべき4つの相手

問診(病歴)は誰からとる必要があるでしょうか?

患者さんからだけでは不十分です。

というか、救急外来では意識障害や認知症など患者さんから病歴がとれないことも多々あります。

問診(病歴)をとる相手として以下の「4つの“か”」を意識しましょう。

病歴をとる4つの“か”
  • か:患者さん
  • か:家族
  • か:カルテ
  • か:かかりつけ

患者さん、家族に問診をとることは異論はないはずです。

忘れがちなのが「カルテ」と「かかりつけ」です。

救急車の受け入れが決まった時点で、患者さんの名前・生年月日などがわかっていれば、「カルテ」があるか確認して必ず目を通しておきましょう。

通院中の疾患に関連する症状で搬送されている可能性がありますし、実は似たような症状で以前にも受診していて、診断の手がかりとなることがあります。

 もちろん、以前と同じ症状だからといって今回も同じ病態とは限りません

特に忘れがちなのが「かかりつけ」です。

患者さんが自分の病院にかかりつけでない場合は、普段通院している病院・クリニックへ内服薬・検査結果(可能ならばサマリー)などを問い合わせましょう。

他の医療機関への問い合わせをしたことが無い人にとってはハードルが高いかもしれません。

しかし、このかかりつけ医への問い合わせが診断の決め手になることは少なくありません。

最近内服薬の変更があった、1ヶ月前の血液検査と比べて明らかに貧血が進行している、など救急外来での検査結果を眺めているだけではわからない情報が出てくることがあります。

そして最後に1周まわって「患者さん本人」からの病歴を軽視しないようにしましょう。

認知症があるという情報があると、ついつい最初から家族に聞きに行ってしまいがちですが、本人の痛みや不快感などは本人にしか表現できません。

後から振り返ると認知症の患者さん本人が訴えていた症状が唯一の手がかりだった、ということもよく経験します。

問診のコツ②病歴でまず確認すべき2つのこと

救急外来でまず確認すべき病歴は2つです。

救急外来で必ず確認すべき病歴
  • 突然発症か緩徐発症か
  • 一番最初の症状は何か

突然発症であれば緊急度が高い疾患の可能性が上がります。

突然発症の痛みであれば、つまる、ねじれる、やぶれる病態を考えることになります。

  • つまる:心筋梗塞、肺塞栓など
  • ねじれる:絞扼性イレウス 卵巣捻転など
  • やぶれる:大動脈解離 消化管穿孔など

また、今の症状に注目しすぎて最初の症状を確認せずに診療を進めてしまうと落とし穴にはまることがあります。

55歳男性
救急外来受付で血圧測定しているときに、
突然呂律が回らなくなったためにストレッチャーで救急外来へ搬送された。
BP168/94  HR74 E3V4M6
構音障害あり 左片麻痺あり
頭部CTでは所見なし

この症例では明らかに左麻痺と構音障害があるため、頭部MRIの準備がすすめられました。

ところでこの患者さんは救急外来受診後に血圧を測っているときに呂律が回らなくなったのですが、そもそも受診した理由は「突然の胸背部痛」でした。

実は大動脈解離からの脳梗塞だったのですが、診察時には構音障害と左麻痺が目立ったために“最初の症状”が見えにくくなっていたのです。

他にも実は“最初の症状”は「腹痛」だったのに、痛みで過換気になってしまい「過換気の人」というラベルで救急搬送されるケースもあります。

大事なのは“最初の症状”です。

問診のコツ③痛みの問診の型

救急外来では胸痛、腹痛など「痛み」を主訴に来院される患者さんが多いです。

痛みの問診の型はいくつかありますが、覚えやすいのはOPQRSTです。

痛みの問診のOPQRST
  • Onset:発症様式
  • Point :痛みの部位
  • Quality/Quantity: 痛みの性状/強さ
  • Radiation:放散痛
  • Symptom:随伴症状
  • Time:時間経過ここにコンテンツを記載

このうちのOnset(発症様式)、Quantity(強さ)、Time(時間経過)については、グラフ化できるような病歴聴取を目指しましょう。

グラフというのはこんな横軸に「時間」、たて軸に「痛みの強さ」をとったこんなグラフのイメージです。

例えば

25才 男性
昨日の夜から腹痛があり、本日朝痛みが強くなったため救急受診

これだとグラフにできないですし鑑別診断も今ひとつ浮かばないですよね。

25才 男性
来院前日の20時ごろ、夕食後から緩徐発症の心窩部の痛みがあったが様子を見ていた。NRSで2/10〜5/10程度の強さの痛みを周期的に繰り返していた。朝4時ごろから痛みがNRS9/10の持続痛となり、右下腹部に移動してきた。痛みが我慢できなくなり朝7時に救急外来を自力受診した

これだと、Onset(発症様式)、Quantity(強さ)、Time(時間経過)がグラフでイメージできそうですよね。

少なくとも突然発症のつまる、ねじれる、やぶれるでは無さそうですし鑑別診断も自然と浮かんできます。

問診のコツ④転倒した理由を確認する

転倒に限りませんが、外傷を見たときは内因性疾患が先行して受傷した可能性は無いかを必ず確認しましょう。

「失神して転倒した。」

「実は数日前から体調が悪くてふらついて転倒した。」

「突然右足が動かなくなってブレーキが踏めずに単独事故を起こした。」

これらは外傷診療に加えて先行した内因性疾患の精査も必要です。

逆に「発熱」を主訴に搬送された患者さんが、実は少し前に転倒していて大腿骨頚部骨折を合併していた、というパターンもよくあります。

問診のコツ②の「一番最初の症状を確認する」と同じとも言えますが、「外傷」というラベルがつくと問診が軽視されがちです。

救急外来では内科・外科という枠にとらわれず、あらゆる可能性を考えて問診していく必要があります。

まとめ

救急外来での問診のコツを4つ紹介しました。

まとめると

  • 「4つの“か”」から問診をとる
  • 突然発症かどうか・一番最初の症状を掴む
  • 痛みの問診の型を身につける
  • 転倒した理由を確認する

です。

これらを意識しながら日々の診療を積み重ねることで、効率よく経験値がたまっていくはずです。