ケタミン+プロポフォール(ケトフォール)の使い方|救急外来での鎮静

研修医・若手医師

救急外来で脱臼の整復を行う時などに鎮静が必要なことありますよね

その時に鎮静薬として何を使っていますか?

プロポフォールはよく使われる薬ですが、ケタミンを使った経験がある人は多くないかもしれません。

ここではプロポフォールとケタミンの違いに触れつつ、ケトフォールという2つの薬剤を合わせた鎮静方法のメリットについて解説していきます。

ケタミンとプロポフォールの特徴

ケタミンとプロポフォールはそれぞれ単独で救急外来での処置時の鎮静に使用できる薬剤です。

それぞれの特徴を理解する上で、この2つをセットで覚えることをおすすめしています。

なぜなら、この2つの薬剤はお互いのデメリットを補い合う特徴を持っているからです。

ケタミンとプロポフォールの特徴

例えばプロポフォールは鎮痛作用が無い、という事は大きな特徴です。

脱臼の整復などで痛みを伴う処置の時に、プロポフォールやイソゾールなどの鎮痛作用が無い鎮静薬のみだと、痛みで体動が出てしまうことがありますよね。

そして動いてしまうのでプロポフォールを追加していくと、今後は呼吸が止まってしまってBVMで換気しなければいけなくなる、というのは“あるある”です。

一方でケタミンは鎮痛作用もあって呼吸抑制も基本的には無いので、

「じゃあケタミン単剤でいいんじゃないか」

という話になりそうですが、そう簡単ではありません。

ケタミンは嘔吐や悪夢などの副作用があり、また作用時間もプロポフォールに比べて長めなので救急外来の滞在時間が長くなりがちです。

プロポフォールもケタミンも一長一短があるというのが現実ですが、この2つのいいとこ取りをできるかもしれないのがケトフォールなんです。

ケトフォールの救急外来での使い方

具体的な使い方の目安ですが、基本的にはプロポフォールとケタミンを1:1の割合で、単剤の時よりも少ない量を投与します。

文献によって多少かわりますが、

ケトフォール
プロポフォール0.5-0.75mg/kg+ケタミン0.5-0.75mg/kg

としているものが多いです。

だいたい単独で使用する時の半分程度をそれぞれ投与するイメージです。

元々のケトフォールの文献では、一つのシリンジにプロポフォールとケタミンを一緒に混ぜて準備する、と書かれてるのですが、日本では別々のシリンジに吸って順番に投与するのが無難です。

なぜならケタミンは麻薬指定の薬剤なので、正確な使用量を記録する必要があるのと、残った場合に返却する必要があります。

プロポフォールと混ざってしまうと後で返却する時にややこしいのです。

ケトフォールの利点と欠点

ケトフォールの利点は、プロポフォールとケタミンの欠点が消える(正確に表現すれば“薄まる”)ことにあります。

まずケタミンが入ることによって鎮痛作用が期待できます。

そして嘔吐の副作用についてはプロポフォールに制吐作用があることで打ち消されます。

実際にケタミンとケトフォールを比べた研究で、嘔吐が3倍少なくなったという結果もあります。
Acad Emerg Med. 2017 May (PMID: 28493642 )

またケタミン単剤では悪夢の副作用も有名ですが、ケトフォールを使用した経験上は、皆さん楽しい夢を見る傾向がありそうです。

なので悪夢については事前に説明しておくべきですが、実際にそれで問題となった経験はありません。

欠点としては、ケタミンが麻薬指定されているので救急外来に定数配置しにくく、薬剤部まで取りに行く必要があるので時間がかかってしまいます。

カルディオバージョンなど一瞬で済んでしまう処置であればプロポフォール単剤でも変わりはないかもしれません。

また、理論上はプロポフォール単独投与よりは呼吸抑制は起きにくいはずですが、低酸素のイベントはやはり一定数報告されているので、BVMや挿管の準備などは必要になります。

注意事項
救急外来で鎮静を行うときは、常にBVM、挿管の準備などはしておこう

まとめ

ケタミンとプロポフォールの合わせ技、ケトフォールの使い方を紹介しました。

ケトフォールだけで全ての処置を乗り切れる!というほど単純ではないですが、ケタミンとプロポフォールの特徴を抑えた上での選択肢として有用だと思います。

いずれの薬剤使用する場合も呼吸管理の準備を忘れないようにしましょう。

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