人工呼吸器管理の基本設定はだいぶ理解できてきたけど、トラブルシューティングはまだ自信が無い、という人向けに
人工呼吸器管理中に突然換気困難となった時の鑑別DOPEについて解説します。
この記事を読むことで
- DOPEとは何か理解できる
- 換気困難に具体的にどう対応すれば良いか理解できる
ようになります。
人工呼吸器管理中に換気ができなくなると最悪の場合心肺停止につながることもあります。
特に1人での当直時は自分だけで対応しなければならない場合もあるため自信が無い人には必ず知っておいてほしい内容です。
目次
人工呼吸器管理中の換気困難の鑑別:DOPE
- Displacement(チューブ位置異常)
- Obstruction (気管・チューブ閉塞)
- Pneumothorax(気胸)
- Equipment(機器の不具合)
ここで挙げたもの以外にも喘息発作など考えるべき病態はあります。
ですが、まずはすぐに介入できるもの、そしてすぐに介入しないと危険なものとしてこの4つから考えていきます。
DOPEの鑑別のためにやるべき事
- ジャクソンリースで用手換気に切り替える
- 胸部レントゲン
- 気管支鏡
この順番に行うことをおすすめします。
まず最初に用手換気に切り替えてEの機器の不具合を除外します。
また、ここでBVMでは無くジャクソンリースを使うことがポイントです。
ジャクソンリースは気道内圧を手で感じることができるので、E以外の問題の時に固くて換気ができないということを実感しやすいです。
次に胸部レントゲンをとることでD(チューブ位置異常)とP(気胸)を除外します。
緊張性気胸は身体所見で診断するんだ!という意見もあるかと思いますが、内因性の緊張性気胸は皮下気腫がはっきりしないことも多く無気肺との区別が難しい場合もあります。
そして最後に気管やチューブの閉塞を確認、そして除外するために気管支鏡を行います。
意外と多いのが気道分泌物によるチューブの閉塞です。
特に加湿が不十分だったり、また分時換気量が非常に多い時などは分泌物が固まってしまいチューブ内が閉塞しやすいです。
気管支鏡で除去できないくらい固まってしまっている時もあり、最悪の場合は挿管チューブの入れ替えが必要になることもあります。
気管内に大きな痰の塊があって閉塞している場合は気管支鏡では吸いきれない場合もあります。
その場合は太めの吸引チューブで吸うほうがうまく解除できる場合があります。
まとめ
人工呼吸器管理中の換気困難の鑑別としてDOPEを紹介しました。
対応としてはまずジャクソンリースで用手換気、それでも固ければ胸部レントゲンでチューブ位置異常と気胸の除外、そして最後は気管支鏡で閉塞の除外です。
慣れてくれば自然とできるようになりますが、最初のうちはDOPEの頭文字を思い出して一つずつチェックしていきましょう。