救急外来での皮疹の鑑別|必ず考えるべき5つの病態

研修医・若手医師

皮膚科が苦手だったので、救急外来で皮疹を見ても診断が思い浮かびません・・・

皮疹の鑑別ってたくさんあるからね。
でも大丈夫、救急外来ではここで紹介する5つの病態さえ押さえておけば十分なんだ!

救急外来で重要な5つの皮疹
  • アナフィラキシー
  • 重症薬疹
  • 紫斑
  • 重症感染症
  • 麻疹・風疹など

これら以外の皮疹であれば後日皮膚科受診で問題無いことがほとんどだよ。
順番に解説していくね!

アナフィラキシー

皮疹をが出る疾患の中で緊急度の高い疾患の代表がアナフィラキシーです。

皮疹+呼吸、循環、消化器などの症状を伴うため診断は難しくないはずです。

S+ABCDで症状を確認しましょう。

アナフィラキシーのS+ABCD
  • S:Skin(皮膚)
  • A:Airway(喉頭浮腫)
  • B:Breathing(喘息、呼吸器症状)
  • C:Circulation(血圧低下、ショック)
  • D:Diarrhea(下痢、消化器症状)

治療に関するエビデンスなどの解説は、アナフィラキシー治療のエビデンス:ガイドラインでの各薬剤の位置づけ、の記事を参考にしてください。

重症薬疹

SJS/TEN、DIHSなど重症薬疹は見逃したくない鑑別です。

SJS/TENはかつては別に扱われていましたが、現在では同一スペクトラムの疾患とされています。

表皮剥離10%以下をSJS、30%以上をTENとして扱います。

10–30%の間はオーバーラップとする考え方と、10%以上をTENとして扱う場合もあるようです。

診断は粘膜症状の有無とSSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)の除外がポイントになります。

DIHSは皮疹に加え好酸球増多、肝障害、リンパ節主張などが特徴的な薬疹です。

カルバマゼピン、アロプリノールでの頻度が高いとされますが、フェニトイン、フェノバルビタールなどの抗てんかん薬でも出現します。

DIHSの診断基準
  1. 限られた薬剤投与後に遅発性に生じ、急速に拡大する紅斑。しばしば紅皮症に移行する。
  2. 原因薬剤中止後も2週間以上遷延する。
  3. 38度以上の発熱。
  4. 肝機能障害。
  5. 血液学的異常:a、b、cのうち1つ以上
    a、 白血球増多(11000/mm3)
    b、 異型リンパ球の出現(5%以上)
    c、 好酸球増多(1500/mm3)
  6. リンパ節腫脹
  7.  HHV-6の再活性化

    典型DIHS:1~7すべて
    非典型DIHS:1~5すべて、ただし4に関しては、その他の重篤な臓器障害をもって代えることができる。

SJS/TEN、DIHSいずれも治療の基本は原因薬剤の中止と支持療法(スキンケア、全身管理)になります。

ステロイドについては結論が出ていない(明らかな有効性を示した研究なし)ですが、ざっくり言ってしまえば「臓器障害を伴うような重症例では考慮」、というのが現状のようです。

紫斑

紫斑の診断のポイントは圧迫で消退しない皮疹です。

紫斑は出血傾向に伴う(稀に血管炎)症状の場合があるため重要です。

出血傾向を伴う場合、血液疾患や重症感染症の可能性があるため、介入が大きく変わります。

重症皮膚感染症

壊死性筋膜炎、SSSSなど重症感染症は感染症としての早期介入が必須になるため重要な鑑別です。

壊死性筋膜炎はデブリドマンが必要なため診断が特に重要になります。

発症初期は蜂窩織炎との鑑別が難しい場合がありますが、皮疹が無い部分にも強い痛みがある、急速に水泡形成が進むなどがあれば壊死性筋膜炎を疑った方が良いでしょう。

公衆衛生的に重要なウイルス感染症(麻疹・風疹・水痘など)

疾患の重症度としては高くない場合が多いですが、公衆衛生的観点から診断が重要になります。

疑った場合には職場復帰や登校などに関して適切に指導をする必要があります。

出席停止期間
  • 麻疹:解熱後3日
  • 風疹:皮疹が消失するまで
  • 水痘:全ての皮疹が痂皮化するまで

まとめ

救急外来で重要な皮疹の鑑別5つについて解説しました。

これら以外で全身状態良好であれば原則として後日皮膚科受診で問題ことがほとんどです。

皮疹に限らない話ですが、確定診断をつけることよりも「早期に介入することが重要な疾患を除外していく」、というアプローチが大切です。

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