救急外来で高齢者の発熱を診るときの3つのコツ【初心者向け】

研修医・若手医師

救急外来で当直をすればほぼ必ず診療する機会があるのが高齢者の発熱です。

ここでは主に初期研修医の先生など初心者向けに、救急外来で高齢者の発熱を診るときの3つコツ

・高齢者の感染源上位3つ
・背面の診察の重要性
・感染症以外の熱源

について簡単に解説していきます。

目次

高齢者の感染源の上位3つをおさえる

まずは高齢者の発熱で、感染症の原因トップ3をおさえましょう。

高齢者の感染源トップ3
  1. 気道感染(肺炎)
  2. 尿路感染症
  3. 皮膚軟部組織感染(褥瘡含む)

ざっくりとした印象ですが救急外来を受診する高齢者の発熱の6〜7割くらいは上記の感染症です。

その次くらいに胆嚢炎・胆管炎などを含む消化器系の感染症です。

それら以外ではかなり頻度は下がりますが椎体炎や腸腰筋膿瘍、感染性心内膜炎などもあります。

ですが、まずは上位3つを念頭に身体診察・検査を進めていって、途中で追加の情報があれば軌道修正していく、というのが効率的です。

高齢者の発熱では背面の診察を忘れない

救急車で搬送された患者さんは当たり前ですが、仰臥位の状態で診察を始めます。

ここでつい忘れがちなのは背面の診察です。

実は背面には感染源のヒントとなる情報が少なくありません。

背面観察のポイント
  • 脊柱叩打痛(椎体炎)
  • CVA叩打痛(腎盂腎炎)
  • 褥瘡の有無
  • 直腸診(前立腺炎)

全身CTを撮ったとしても、椎体炎や前立腺炎などは診断できません。

「たぶん尿路感染症です」と入院させて、病棟に上がった後に大きな褥瘡が見つかるとまあまあ気まずい思いをします。

高齢者の発熱を診る時は、ルーチンで側臥位にして背面の診察をする習慣をつけましょう。

もちろんバイタルが不安定であれば、不用意に側臥位にしない方が良いです

感染症以外の熱源も考慮

発熱の原因が感染症とは限りません。

特に高齢者では偽痛風の頻度は少なくないので、関節の診察も忘れないようにしたいところです。

膝関節が頻度としては多いですが、頚椎の環軸関節の偽痛風、Crowned dens症候群も珍しくはない疾患なのでおさえておきましょう。

Crowned dens症候群については、Crowned dens症候群とは|救急外来での頚部痛の鑑別、の記事を参考にしてください。

まとめ

救急外来で高齢者の発熱を診るときの3つのコツについて解説しました。

・感染源上位3つは肺炎・尿路・皮膚
・背面の診察を忘れない
・感染症以外では偽痛風をチェック

高齢者の発熱は救急外来ではほぼ毎回診ることになるので、自分なりの型を早めに身につけましょう。

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