苦労して書き上げた論文を投稿して、返事を心待ちにしていたところでリジェクト・・・
本当に辛いですよね。
あんなに苦労して慣れない英語も頑張って書いたのに・・・
でもここであきらめてはいけません。あなたがせっかくまとめた研究結果が世に出るチャンスは必ずあります。
私も全然自慢になりませんが、3つの雑誌にリジェクトをされた論文が、なんとか4つ目の雑誌にアクセプトされた、という経験があります。
その経験のふまえて、論文がリジェクトとなった時にどう向き合っていけばいいか、最終的に論文がアクセプトされるための行動についてお話していきます。
目次
リジェクトの内容次第で次の行動を変える
リジェクト、と一言で言ってもいくつかのパターンがあります。
大きく分ければ、エディターキックか、査読後のリジェクトかになります。
エディターキックならばまず雑誌のランクを落とそう
エディターキック(Editor’s kick)とは、査読に回す前の段階でEditorがリジェクトを決めるものです。
査読はとても大変な作業ですし、レベルの高い雑誌ほど毎日多くの論文が投稿されるので、必然的にこのエディターキックの割合が高くなります。
査読にすら回っていないということは、回す価値がないと判断されている、ということになります。
ほとんどの場合が研究のデザイン(質)の部分で判断されていることが多いはずです。
これは変えようが無い(研究を一からやり直す覚悟があれば別ですが・・・)ので素直にあきらめて、雑誌のランクを下げましょう。
もちろん内容に改善できる部分があれば、いろいろ改善してから投稿しても良いのですが、査読コメントも付いていない状態で、どこを直せば良いかわからない状態での作業は効率が悪いです。
時間を有効に使うためにも、とりあえず査読コメントをくれる(であろう)雑誌にさっさと投稿してしまう方が効率が良いと思います。
ちなみにそのまま別の雑誌に投稿するとしても、雑誌ごとに投稿規定が微妙に異なる場合があるので、投稿規定を必ず確認して微調整は必要になります。
査読コメント付きでリジェクトならば、指摘された部分を全て改善してから同ランク以下の雑誌へ
査読コメント付きでリジェクトとなっている場合、査読コメントに十分に目を通して改善できる部分は必ず直してから次の雑誌へ投稿しましょう。
ついついそのまま別の雑誌に投稿してしまう誘惑にかられてしまいますが、それだとまたリジェクトになってしまう可能性が高いです。
よく勘違いしてしまうのは、「雑誌のランクさえ落としていけばいつかアクセプトされるだろう」、と思ってしまいがちですが、そんなことは決してありません。
また雑誌のランクを落としたとしても、査読者は雑誌のランクに関係なく真剣に論文と向き合っています。
なので基本的には指摘される部分はそこまで変わらないはずです。
また、雑誌が変わっても同じ査読者にあたる可能性も否定できません。
査読者はその領域の専門家がなるのが原則で、それが比較的狭い領域であれば、同じ査読者にあたる可能性もありえます。
その時に全く内容の改善が見られなければ、印象も悪いですし査読コメントも評価も同じになってしまうでしょう。
rejectの時の査読コメントをmajor revisionだと思って全てのコメントに真摯に対応して内容を改善していきましょう。
考察・結論が“言い過ぎ”になっていないか見直す
せっかく出したデータなので、ついつい「この結果をこう臨床に活かせる!意味がある!」と“言い過ぎ”な(飛躍した)理論を考察や結論を述べてしまいがちです。
でも実際は単施設での観察研究(とは限らないかもしれませんが)の結果をもって何かを言えることの方が難しい、というのが一般的です。
あくまでもデータから客観的に言えることのみを述べるだけにとどめて、「今すぐ臨床現場を変えるわけでは無いけど、今後の研究の足がかりになるかもしれない」という程度の表現にしておくのが良いでしょう。
新規性や有用性はもちろん論文の価値を議論する上で重要な要素ですが、論文のアクセプトに関わってくるのは研究手法が正しいか、結論がデータから飛躍していないか、という研究の妥当性の要素が大きいです。
ここがおさえられていないと、いくら雑誌のレベルを下げてもアクセプトされないでしょう。
すごく目立つ内容では無いけど、減点するところ(ツッコミどころ)も無い、というのが最終的にアクセプトされる論文です。
オープンアクセス雑誌も候補に入れる
自分の専門領域で有名な雑誌を狙いたいところですが、やはり領域によってはインパクトファクターも高く敷居が高い場合も多いです。
そこでオープンアクセスジャーナルは候補に入れるべきです。
もちろんハゲタカジャーナルと呼ばれる、明らかに質の低い雑誌への投稿は厳禁です。
インパクトファクターがついている、メジャーな出版社が管理しているオープンアクセス雑誌は候補になりえます。
具体例としては
- Sientific reports
- PLOS ONE
- SAGE open
などです。
PLOS ONEは“研究の意義”よりも、“研究手法の妥当性”を評価している、とされます。
研究の意義については論文掲載後に読者が議論すれば良い、というスタンスのようです。
「こういう研究をやってみたけど臨床現場にインパクトを与える内容にならなかった」、という論文も、“失敗の共有”’(失礼な表現かもしれませんが)と捉えれば意味があることだと思います。
まとめ
論文がリジェクトされた時にやるべきこと、について解説しました。
何回もリジェクトされたとしても、最終的に論文が掲載された時の喜びは何物にもかえがたいものがあります。
あきらめなければ、あなたの論文がpubmedに収載される日がきっときます!