三環系抗うつ薬中毒の心電図変化のみかたとメイロンの使い方

研修医・若手医師

抗うつ薬と言えば今やSSRIやSNRIなどが一般的であり、三環系抗うつ薬、というと古いイメージですよね。

ですが三環系抗うつ薬は今でも処方されている薬であり、薬物中毒(overdose)として救急外来で診る機会があります。

商品名で言うとイミドール、アナフラニール、アモキサンなどです。

抗うつ薬の中毒というと心室性不整脈の副作用が致死的なので、心電図をとる事が多いと思いますが、その時どこに注目していますか?

QT延長は心室性不整脈のリスクとなる心電図所見として有名ですが、それだけでは不十分です。

ここでは三環系抗うつ薬中毒を疑ったときに注目すべき心電図変化および、心電図変化があったときにすべき治療についてわかりやすく解説していきます。

なお、元ネタはup to dateの“Tricyclic antidepressant poisoning”の記事なので、より詳しく知りたい場合はそちらを参照してください。

・up to dateを今すぐ参照できない

・up to dateを読んでる時間が無いけど最低限の知識を知りたい

という人には最適な記事です。3分もあれば読み終わります。

三環系抗うつ薬中毒でみられる心電図変化

心毒性を示唆する所見として重要なのは以下の所見です。

  • QRS幅の延長(>100msec)
  • aVRのR波>3mm
  • aVRのR/S比増大(≧0.7)

これらがみられると心室性不整脈のリスクが高くなるとされています。

QRS幅って意識してみていますか?

心電図の1目盛りは0.04秒(40msec)なので、QRS幅が3目盛り以上あれば異常と考えて良いでしょう。

QRS幅≧160msecであれば特に心室性不整脈のリスクが高い状態です。

QRS以外にもaVRのR波にも注意してみていく必要があります。

aVRって普段はあまり注目しない誘導ですよね。

aVRのR波>3mmでリスクが上がりますが、特に5mmを超えると心室性不整脈・痙攣のリスクが高いとされています。

TCA中毒ではQRS幅aVRのR波に注目しましょう。

心電図変化があれば治療は重炭酸ナトリウム(メイロン)投与

QRS幅>100msecなど、心電図変化があったときのまず行うべき治療は重炭酸ナトリウム(メイロン)投与です。

up to dateでは1−2mEq/kgが初期投与量として推奨されています。

8.4%のメイロン20mlの製剤が救急外来に置いてある施設が多いかと思いますが、1ml=1mEqに調整されているので、2−3個(40-60mEq)投与が良いかと思います。

そして12誘導をモニタリングしながら、QRS幅の延長やaVRのR波増高が改善するまで5分おきに同量を追加します。

その後はpH7.50-7.55を保つようにメイロンの持続投与を継続します。

メイロン投与中はvolume overloard,低K血症,高Na血症,代謝性アルカローシスなどに注意してモニタリングしていく必要があります。

これらを実行しようと思うと、ICUか最低でもHCUでの管理が妥当でしょうね。

まとめ

三環系抗うつ薬で確認すべき心電図変化と、メイロンの投与について簡単に解説しました。

心電図ではQRS幅の延長とaVRでのR波の増高が重要な所見です。

心電図の異常が見られればICU or HCUでモニタリングしながら、8.4%メイロン20ml製剤を2-3個投与して、心電図変化が改善するか確認しましょう。