救急外来の待ち時間の理由、教えます

患者さん向け

救急外来を受診したのに診察はじまるまでに1時間以上待たされたけど、こんなものなの?

自分より後から来た人が先に診察がはじまったのはなんで?

救急車で家族が搬送されて待合室で待たされてるけど、いつまで待つんだろう?

救急外来では診察までにも診察がはじまってからも待ち時間が発生することがあります

なぜ待たされているのか、いつまで待てばいいのか、がわからないと余計に長く感じるものです

今回は救急外来での待ち時間がなぜ発生するかを解説していきます

目次

救急外来の診察は先着順ではなく、緊急度が高い人から

救急外来を受診すると、受付を済ませた後に看護師から簡単な問診をされ、血圧や脈拍など(バイタルサイン)を測定されます。

これは「トリアージ」と呼ばれるもので、患者さんの緊急度を判断して、診察順を決めています。

もう少し詳しく説明すると、病院にもよりますが、4段階または5段階に緊急度を判断しています。そして最も緊急度が高いカテゴリーと判断されると、ほぼ待ち時間無しで診察がはじまります。逆に最も緊急度が低いカテゴリーと判断されると1-2時間待つことは普通にあります

これは救急車で来院した場合も同様で、例えば鼻血が出たという症状で救急車を呼んだけれど、来院時には血止まっているという場合には、歩いてきた人と同様に待つことになります。

救急車を呼んで搬送されたのに何故か待たされた!という方は「待てる」と判断されたということなので、申し訳ないのですが待っていただくことになります。

そもそも何故こんな方法をとっているかというと、受診される患者さんの数に対して圧倒的に医師の数が少ないからです

なので順番通りに診察をしてしまうと、すぐに対応しなければならない緊急度の高い患者さんが来院された時に待たさせてしまい、治療が遅れて助からないということが起こりうるのです

なので救急外来で診察に1-2時間待たされたという事は、自分よりも緊急度が高い人(命に関わるような状態)の診察が優先されている、自分はその人に比べたら待てると判断されているんだ、ということを理解いただければ、待つことも納得できるのではないでしょうか。

救急外来では診察がはじまってからも1-2時間は待つ可能性がある

診察までに1-2時間待ってようやく診察がはじまったとしても、そこからさらに待つ時間があります。

一つは検査結果待ちです。

もちろん検査が必要ない場合は別ですが、救急外来を受診されて血液検査とCTなどの画像診断をするような場合は診察開始から検査結果が出て、医師からの説明を受けるまでには1-2時間かかると思って良いです。

MRIなど時間がかかる検査をする場合はさらに長くなることもあります。

もう一つ待ち時間に影響を与える可能性があるのが、新たな重症患者さんへの対応です。

通常救急外来の医師は同時に複数の患者さんを診察しています。先ほど説明したように、受診される患者さんの数に対して圧倒的に医師の数が少ないからです。

自分の診察を担当している医師が、途中で後から来た緊急度の高い患者さんの診察も同時並行で行うことはよくあることです。その患者さんが全く手が離せない(心肺停止など)場合は、ある程度状況が落ち着くまでは他の患者さんの診察に戻れません。なので検査結果が出ていても、説明に来れないということは珍しくありません。

なので診察がはじまっているにも関わらずなかなか結果の説明が無いという場合は、検査結果が出るまでの時間+他の緊急患者さんの対応があるのだ、と理解していただければありがたいです。

診察室の奥ではみなさんが思っている以上に医療スタッフは走り回っています。

もちろん不安な気持ちで待っている患者さんには申し訳ないとも思っています。待っていただければ必ず対応します。

救急外来で待ち時間があるという事は避けられない事ですが、診察室の向こう側で多くの患者さん、そして重症な患者さんを限られた人数で対応していることを想像していただき、焦らずに待っていただければと思います。

まとめ

  • 救急外来での診察は緊急度が高い人から!緊急度が低いと判断された場合は1-2時間待つことがある。逆に緊急度が高ければほぼ待ち時間は無い。
  • 診察がはじまってからも検査待ちのため1-2時間は待ち時間がある!
  • 医師は複数の患者さんを同時に診療しており、緊急度の高い患者さんが来ると、さらに待ち時間が長くなることがある!