qSOFAスコアとは|敗血症のスクリーニングツール

研修医・若手医師
 76才 女性
発熱と倦怠感主訴に救急搬送
E3V4M6
BP116/88 HR90
RR28 SpO295%(room air)
BT 38.4℃

血圧は保たれていそうだし、とりあえずじっくり病歴を確認してから・・・

ちょっと待った!qSOFAスコアが2点以上あるね。敗血症を想定して急いで対処しよう!

qSOFAスコア?

目次

qSOFAスコアとは

2016年のSSCGガイドラインの改定により敗血症の定義が変わりました(1)

敗血症の定義
感染症+SOFAスコア2点以上上昇

SOFAスコアはもともとICUの症例の臓器障害を評価するツールとして使われていました。

ただしこれは血液検査の結果やAガスなどの評価が必要で、救急外来や一般病棟での使用を想定していません。

そこで救急外来や一般病棟での敗血症の早期スクリーニングを目的としてqSOFAスコアが作られました。

qSOFAスコア
  • 意識レベル低下(GCS<15)
  • 呼吸数≧22/分
  • 収縮期血圧≦100mmHg

    2点以上で敗血症の疑い


3項目中2項目以上該当すれば敗血症の疑いとして診療を進めていく必要があります。

あくまでも敗血症の早期認知を目的としているので、qSOFA2点以上だとしても敗血症の確定では無いということを忘れないでください。

qSOFAスコアは実際に有効なのか

qSOFAはその後、いくつかの研究で妥当性の検証が行われています。

実際に検証してみると、予後予測としていまいちであったというメタアナリシスや(2)、NEWSという別のスクリーニングツールの方が優れていた(3)という研究も出ています。

qSOFAは項目も少なく、意識とバイタルサインのみで素早く判断できるというメリットがあるものの万能ではないということも認識しておく必要があります。

また、意識レベルについては、もともと認知症がある人ではGCS15未満だとしても意味のある変化ととらえるべきか、の判断が難しい場合もあります。

敗血症を早期に疑うきっかけとして上手に使っていく必要がありそうです。

まとめ

敗血症のスクリーニングツールとしてのqSOFAスコアを解説しました。

qSOFAは万能ではなく、これだけで敗血症の確定も除外もできません。

あくまでも「敗血症を疑うきっかけとして使う」という意識が重要です。

特に呼吸数や軽度の意識レベル低下は、意識して観察しないと気付けないので注意しましょう。

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【参考文献】

  1. Singer M, Deutchman CS, Seymour CW, et al. The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock. JAMA 2016; 315:801-10. 
  2. Fernando SM, Tran A, Taljaard M, et al. Prognostic Accuracy of the Quick Sequential Organ Failure Assessment for Mortality in Patients With Suspected Infection: A Systematic Review and Meta-analysis. Ann Intern Med. 2018;168(4):266–275. doi:10.7326/M17-2820
  3. Redfern OC, Smith GB, Prytherch DR, Meredith P, Inada-Kim M, Schmidt PE. A Comparison of the Quick Sequential (Sepsis-Related) Organ Failure Assessment Score and the National Early Warning Score in Non-ICU Patients With/Without Infection. Crit Care Med. 2018;46(12):1923–1933. doi:10.1097/CCM.0000000000003359