PICO・PECOとは?|EBMの5ステップを理解する

研修医・若手医師

論文を探す時、論文を読む時、Journal Clubをやろうとなったときなどに、PICOとかPECOという言葉が飛び交います。

ここでは

・PICOやPECOを初めて聞いた
・PICO(PECO)ってなんとなく聞いたことあるけど、どう使うかわからない

という方向けに、PICO・PECOが何かを理解して、“EBMの5ステップ”の第一段階をクリアすることを目的にした記事です。

後半ではEBMの5ステップについての紹介と解説もします。

10年以上初期研修医に論文の読み方を指導してきた救急医が解説します。

関連記事まで読んでいただければJournal Clubに向けた論文の読み方まで理解できます。

PICO・PECOとは臨床的疑問を定式化するためのテンプレート

PICO・PECOとは臨床的疑問を定式化(構造化)するためのテンプレートのようなものです。

PICO・PECOとは以下に示すものです。

  • P:Patients(研究の対象者)
  • I :Intervention(介入)
    /E:Exposure(暴露)
  • C:Comparison(比較対象)
  • O:Outcome(結果)

論文を検索するとき、研究を計画するときには必ず臨床的疑問からスタートします。

例えばあなたが術後に貧血が進んだ患者さんを担当したとします。

上級医「この人は心疾患があるからHb高めに保つように輸血しといて」
あなた「わかりました」
(・・・本当にそれって必要なのかな?) 

この状況で問題点を臨床的疑問として整理していくことになります。

あなたが感じた(本当にそれって必要なのかな)の疑問のままだと、どんな論文を読んだらいいのかがまだ見えません。

もう少し具体的に表現すれば、

「心疾患がある人にHbを高めに保つために輸血することは予後を改善するか」という疑問になるかと思います。

これだとだいぶ疑問が具体的になりましたが、まだ不十分です。ここでPICOを使って定式化していきます。

P:心疾患がある(術後患者)
I :Hbの目標値を高めに設定する
C:Hbの目標値を標準値に設定する
O:28日後の生存率

これはあくまでも例であり、例えばOを心血管イベント発生率でもいいかもしれません。

この定式化を行うことのメリットは主に3つです。

  • 文献検索で論文を検索する上でのキーワードが明らかになる
  • 論文を採択すべきかの判断に使う
  • 論文の結果を自分の目の前の症例に適用する際に使う

例えば、見つかった論文が、Pの部分で「心疾患がある」という条件を満たしていなければ。そもそも目の前の患者さんに当てはまらないので、読む価値が低いという判断になります。

この「PICO・PECOを用いて臨床的疑問を定式化する」というのはEBMの5ステップの第1ステップになります。

ここからはEBMの5ステップについて簡単にまとめておきます。

EBMの5ステップとは

EBMの実践のための5ステップを以下に示します。

  1. 問題の定式化
  2. 文献検索
  3. 文献の批判的吟味
  4. 情報の患者への適用
  5. 1から4までの振り返り

ステップ1についてはPICO・PECOで臨床的疑問を定式化する方法について、すでに解説しました。

ステップ2以降について簡単に解説していきます。

文献検索

ステップ1で問題を定式化したら、そのPICOにできるだけ一致する文献を探します。

まずは二次文献をあたるのが鉄則

まずは二次文献に当たるのが鉄則です。

二次文献ではある程度質の高い論文が引用されており、臨床的疑問を解決するために情報がまとめられているので、短時間で疑問が解決できる可能性が高いです。

二次文献の例として各種ガイドラインの他に

  • Up to date
  • Dynamed
  • Cochran systematic review

などがあります。

まずこれらをあたってみて、それでも解決しなければ一次文献を検索していくことになります。

Up to dateなどの二次文献を読む時の注意

Up to dateなどの二次文献を読む時の注意点として、記述されている内容に「著者の意見が混ざっていることがある」ということです。

全てが研究に基づいたものとは限りません。研究に基づくものなのか、引用文献が明記されているかを確認しましょう。

特に突然主語がweになる場合は著者の「我々はこうしている」という個人的な意見であることが多いです。

だめなら一次文献を検索する≒Pubmedを使う

Pubmedの使い方については解説するだけで膨大な情報になってしまうので、ここでは扱いませんが、初心者のほとんどが

膨大な検索結果に途方に暮れる→使わなくなる

となりがちです。

あえて論文を探すコツをシンプルに言えば「検索結果を100未満(できれば20未満)になるように条件を設定する」ことです。

そのための具体的な行動としては

  • キーワードを増やす
  • フィルターを使う
  • MeSHを使う

になります。さらに詳しく知りたい方は「論文検索」についてググってみてください。

文献の批判的吟味

文献の批判的吟味はつまりは、論文を精読してその妥当性を判断する、ということです。

詳しくは関連記事で解説しているので、時間がある時にぜひ読んでみてください。

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情報の患者への適用

論文から得られた結果が自分の目の前の症例にどう適用していくか、を考える段階です。

重要な考え方として、エビデンスをそのまま当てはめるのがEBMではないということです。

情報を患者に適用するステップにおいて以下の4つを検討することが必要とされます。

  • エビデンス
  • 患者の病状と周囲を取り巻く環境
  • 患者の意向と行動
  • 医療者の臨床経験

エビデンスはあくまでも一つの要素に過ぎない、ということです。

ここで検討していく過程でもPICOで対象やアウトカムを明らかにしておくが役立ちます。

1から4までの振り返り

この最後のステップをなんとなくやってしまいがちですが、EBMのスキルを成長させるためには重要なステップです。

各ステップにおいて、よくわからなかったこと、なんとなくやってしまったことが必ずあるはずです。

10年以上EBMを実践している僕でも毎回必ずあります。

例えば文献検索について、本当に適切な論文を選択したのか、他にもまだ当たっていない論文があるか(ほぼ確実にあります)、という点で改善の余地があるはずです。

次の課題として、より網羅的な文献検索の方法を勉強する、といったものが必ず見つかるはずです。

なんとなく「1から4までちゃんとやりました」で終わらせずに、自分がつまずいたところ、統計的な知識不足などをチェックして、次の学習に繋げましょう。

まとめ

PICO・PECOとな何か?について解説し、EBMの5ステップを解説しました。

まずは第1ステップで問題を定式化し、それをもとに文献検索をすることからはじめましょう。

EBMのスキルは初期研修中に必ず身につけるべき3つのスキルのうちの一つです。

その他の2つ「感染症」「臨床推論」も必須スキルですので、良ければ関連記事を参照してください。

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