救急外来で意識障害の鑑別診断の覚え方としてAIUEOTIPSがあります。
ここでは
AIUEOTIPSって何?
一度覚えたことあるけど忘れちゃった!
という人向けにAIUEOTIPSの中身と、その考え方について解説していきます。
目次
意識障害の鑑別、AIUEOTIPSとは
意識障害の原因(鑑別診断)は少なくとも10個以上あります。
もちろん、病歴や身体所見などから診断を絞り込んでいく事は重要ですが、そもそも鑑別診断が浮かんでいなければ診断にたどり着けません。
もれなく鑑別をあげるためにアルファベットの頭文字を並べたものがAIUEOTIPSです。
- A:Alcohol(アルコール)
- I:Insulin(低血糖)
- U:Uremia(尿毒症)
- E:Electrolytes(電解質)/Endocrine(内分泌)/Encephalopathy(脳症)
- O:Overdose(中毒)/O2(低酸素)
- T:Trauma(頭部外傷)/Temperature(低・高体温)
- I:Infection(髄膜炎・敗血症)
- P:Psychiatric(精神疾患)/Porphyria(ポルフィリア)
- S:Stroke/Seizure/Shock
まずはこのAIUEOTIPSを暗唱できるように繰り返し練習しましょう。
ちなみに書いてある本やサイトによって若干取り上げている疾患が変わるかもしれません。
例えば、SのところでSAHやSyncope(失神)を入れているものもあります。
SAHについてはStroke(脳卒中)の中に入れてしまうという考えもできますし、Syncopeは一過性の意識障害なので上記の意識障害の鑑別診断とは違うグループになります。
AIUEOTIPSの考え方
AIUEOTIPSを知っていれば救急外来で意識障害を診療するときに困らないかというと、そうではありません。
なぜならば、AIUEOTIPSは疾患の頻度やその症例ごとの情報や背景などが全く考慮されておらず、ただ疾患を並べただけだからです。
例えばPorphyria(ポルフィリア)なんて頻度が低すぎるので、そもそもAIUEOTIPSから外してもいいのでは、と個人的には思ったりします。
AIUEOTIPSで鑑別にあがる疾患の検査を全てするというのは現実的では無いですし、その必要もありません。
例えば、意識障害で搬送された症例全例にルンバールやMRI、脳波を施行するなんてできないですよね。
まずは病歴や身体診察、背景などの情報から鑑別診断を絞って、必要な検査を実施するという基本は他の症状と一緒です。
AIUEOTIPSはあくまでも忘れている疾患が無いかを確認するためのツールとして認識することが必要です。
まとめ
意識障害の鑑別診断の覚え方、AIUEOTIPSについて解説しました。
初心者はまずは何も見ずに暗唱できるようにトレーニングしましょう。
AIUEOTIPSの全てを毎回検査で除外する必要はありません。
あくまでも鑑別疾患を想起するためのツールという認識です。