【看護師さん向け】ショックの早期診断のコツ|低血圧=ショックじゃない

看護師さん

血圧は下がってないのに、救急の先生に「ショックだから急ごう!」って言われてなんで?と思ったことないでしょうか。

または血圧が80なのに本人はケロっとしてて、「いつも低いって言われるんです」なんて歩いてきた人は大丈夫なのはなんで?なんて疑問もあるかもしれません。

ショックというと急がなければいけない状況なので、早く気づきたいですよね

そのためには血圧だけでない、ショックの兆候をつかむ必要があるんです。そのためのコツを救急医がわかりやすく解説します。

目次

低血圧=ショックじゃない

大前提として血圧が低い=ショックではないということを知っておく必要があります。

ショックというのは循環が破綻して、各臓器に必要な血液が供給できずに臓器不全症状をきたしている状態を言います

普段から血圧低めの人が臓器不全の症状が無いのであれば、ショックではないわけです。

その逆で血圧が保たれていても、臓器障害の症状が起きていればショックと言えます。

もちろんショックであればいずれは血圧が下がるのですが、血圧が下がってからの対応では間に合わないこともあります。なので血圧以外のパラメータを用いてショックを認知する事が非常に重要です。

血圧測定ももちろん情報としては重要です。

ショックの早期診断のコツ①“3つの窓”

臓器不全の症状っていったって、診察がはじまってすぐには血液検査も画像検査もまだだし、どうやって臓器の状態を判断するの?と思われるかもしれません。

実は観察のみで臓器不全の症状を見れる場所があるんです。

意識レベル(脳)、末梢冷感(皮膚)、尿量(腎)の3つです。これらは“3つの窓”(体の中をのぞくイメージだと思います)と呼ばれていて、ショックの兆候をつかむのに有効です。

意識障害は頭蓋内病変でなくても、脳に十分な血流が届かなければ起こります。皮膚が冷たいという所見は皮膚という臓器に血液が届いていない所見です。

例外的に敗血症の時だけは初期は末梢は暖かくなりますが、病状が進行すれば最終的には冷たくなります

尿量については救急外来ではすぐには判断できませんが、入院中の患者さんでバルーンが入っていれば比較的すぐに得られる情報です。

なので、パッと見しんどそうな患者さんをみたときは、意識障害が無いか、手を触って冷たくないかを確認する習慣をつけましょう。

ショックの早期診断のコツ②血液ガスで乳酸値を確認しよう

血液検査は基本的に時間がかかりますが、血液ガスの結果は比較的早く出るので、ショックに早く気づくのに役立ちます。

そこで医師が注目しているのは乳酸値(Lacと表示されてます)です。

乳酸というのは循環不全が起こっている状態で産生される(それ以外の理由の場合もありますが)ものなので、乳酸値が上がっていれば血圧が保たれていてもショックの可能性を考える必要があります

乳酸値の便利なところは数字で評価できるので、その後の治療に反応しているかを判断できるのです。

ショックの患者さんで輸液など治療を始めて1-2時間以内に再検して治療効果判定を行う事がよくあります。

重症患者さんの診療中に「もう1回ガス取ろう」と医師が言う事があると思いますが、それは治療効果判定のため、ということです。

まとめ

  • 血圧が低い=ショックじゃない!循環不全の症状があるかどうかが重要
  • 重症っぽさを感じたら意識障害、皮膚所見、尿量(3つの窓)を確認する習慣をつけよう。
  • 血液ガスでの乳酸値を確認しよう!ショックの認識、治療効果判定に使える。

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