ドクターカーに乗る看護師、いわゆるドクターカーナースですが、具体的にはどんなスキルが必要なのでしょうか?
施設によってドクターカーナースになるための基準や試験のようなものを課すところもあります。
ドクターカーに乗っている救急医の立場から、ドクターカーナースに求められるスキルについてお話しいていきます。
目次
外傷初期診療に関する知識
ドクターカーの出動する事案として「高エネルギー外傷」は必ず入ってきます。
外傷初期診療は、一般的な内科救急診療とは想定される病態が異なるためそのアプローチも異なります。
なのでそのための診療の流れを理解しておくことが必須になります。
ガイドラインに沿ったスキルを獲得するためのコースとして、JATECという医師向けのコース、JNTECという看護師向けのコースがあります。
看護師さんであればJNTECコースを受講しようとなると思いますが、受講の抽選に当たらない、開催地が遠い、受講料が高い、となかなかハードルが高いかもしれません。
オススメの方法として、JATECコースのタスク(お手伝い)として参加するというのがあります。
“お手伝い”なので受講料は不要ですし、医師が学ぶスキルを真近で見ることができるので、現場で医師が何を考えているかを理解するのに必ず役立ちます。
自施設の近くでJATECが開催される時にはタスクとして参加できないかを狙ってみましょう。
多数傷病者に対応する災害トリアージの知識
多数傷病者の事案では災害トリアージの知識が必要になります。
救急外来でのトリアージしているからなんとなくできるのでは?
と思うかもしれませんが、救急外来のトリアージと、災害トリアージは異なります。
災害トリアージは
- 基本的には外傷を前提としている
- 救急外来よりも多くの傷病者を短時間でトリアージする
- 他の施設の人(救急隊含む)と活動・引き継ぎをする
ということがあります。
特に救急隊や他の施設の人とも活動したり、トリアージした患者さんが他院へ搬送されることも多いので、院内ローカルルールは通用しません。
一般化されたトリアージの方法を知っておく必要があります。
STARTトリアージ、PAT法、トリアージタグの取り扱いかたについては最低限学んでおく方がいいでしょう。
詳しくは、5分で読める!災害トリアージの基本、の記事も参考にしてください。
DMAT養成研修は4日間のコースでしかも抽選に当たりにくいので、1日で受けれるMCLSコースの方がハードルが低いと思います。
患者さん家族への配慮
現場では患者さんの家族がおられる場合が多いです。
どうしても医師は患者さんの処置に夢中になってしまうのですが、その時に看護師さんが家族からの情報収集や、不安な感情へのサポートなどをしてくれるととっても助かります。
もちろん患者さんへの処置の補助が必要な状況であればそちらを優先する必要がありますが、そのあたりのバランス感覚は救急外来でも求められるものかと思います。
看護師さんならではのスキルだと思っています。
まとめ
ドクターカーナースに求められるスキルについてお話ししました。
ここに挙げたもの以外にもショックや心肺停止など対応すべき状況はたくさんあると思いますが、特に外傷診療や災害トリアージは意識しないと勉強する機会が少ないかと思います。
ドクターカーナースに興味があるかたはぜひ勉強してみてください。