災害トリアージの基本|START法・PAT法・トリアージタグの記載法

看護師さん

災害トリアージって普段はあまり使わない知識ですよね。

でも最近は病院でも災害訓練をする機会が増えたり、地震や台風などでの被害が想定されたりしています。

医療スタッフである以上は誰もがいつか関わる可能性があるのが災害医療です。

ここでは災害トリアージの知識の基本である

・災害トリアージと救急外来トリアージの違い
・START法
・PAT法
・トリアージタグの記載方法

について5分あれば読める長さで解説していきます。

すぐ読めるので災害訓練の前などに読み返すことのもおすすめです。

目次

災害トリアージと救急外来のトリアージの違い

災害現場でのトリアージと救急外来でのトリアージは考え方は共通していますが、やり方は大きく異なります。

災害トリアージの特徴として

  1. 基本的に外傷を前提としている
  2. 一般的な救急外来よりも大量の患者さんを想定している
  3. いろんな施設の人と活動する、引き継ぎをする

があります。

①基本的に外傷を前提としている、のでシンプルなアルゴリズムにすることができます。

②大量の患者さんが想定される、ので短時間でトリアージする必要があります。

③いろんな施設の人と活動する、のでローカルルールは通用しません。同じものさし(トリアージ方法)を使うことが必須になります。

災害トリアージの基本①一次トリアージ:START法

多数傷病者を一番最初にトリアージする時(一次トリアージ)の方法がSTART法です。

STARTはSimple Triage And Rapid Treatmentの略です。

まずやるべきことは“歩行できるか”の判断です。

テレビドラマで「歩ける人はこっちに来てくださーい!」と大声をあげるシーンを見たことがあるかもしれませんが、あれは緑を判定しています。

1人1人に声をかけて「歩けますか?」とやっていると時間も人手もかかってしまうので、勇気を出して大声で歩ける人を誘導しましょう

そこからはA(気道)→B(呼吸)→C(循環)→D(意識)の順で確認していきます。

異常があればその時点で赤(緊急)で、いずれも問題無ければ黄(準緊急)へ該当します。

一次トリアージでは短時間で多数の傷病者のトリアージを行う必要があるため、原則処置は行いません

例外として用手的気道確保圧迫止血の2つがあります。

救急外来であれば気道の問題があれば気管挿管をすると思いますが、災害の一次トリアージでは用手的気道確保までです。

赤(緊急)に対する処置は二次トリアージの中で行なっていきます。

災害トリアージの基本②二次トリアージ:PAT法

START法で一次トリアージされた後の傷病者を対象により詳細な評価と必要な処置を行う(二次トリアージ)ための方法がPAT法です。

PATはPysiological and Anatomical Triageの略です。

※PAT法の第2段階はここに挙げたもの以外もあります。

図中にも書いてありますが、第1段階、第2段階で当てはまれば赤になります。

一方第3段階、第4段階は当てはまったとしても黄色を考慮、です。

二次トリアージでは一次トリアージよりもより詳細に評価するので精度が高まります。

なので二次トリアージの結果トリアージ区分が変わることもありえます

トリアージ区分が変わった時のトリアージタグの訂正方法などはこの後簡単に解説します。

災害トリアージの基本③トリアージタグの記載方法

トリアージタグは災害現場でのカルテです。

なので

  • 病院到着後まで記録が残る
  • 多職種で情報を共有する
  • 追記/変更がありうる

という意識で書く必要があります。

タグ記載の注意事項

  • 追加/修正を前提にして、上に詰めて書く
  • トリアージ区分とその根拠となる所見を必ず記載する

記載内容の訂正・追記

  • 旧記載内容が誤っている場合、二重線で訂正する(氏名 診断名など) 
  • 追記の場合はそのまま書く

トリアージ区分(カテゴリー)変更

二次トリアージや再トリアージの時にトリアージ区分が変わる可能性があります。

その時は旧トリアージ区分に×をつけて訂正します。

  • 重症化の場合:タグをもぎる
  • 軽症化の場合:新たなタグを追加→旧タグに大きく×をつける(除去はしない)

トリアージ区分を変更した時は、変更者の氏名と時刻を必ず記載しましょう。

傷病者へのタグ装着

完成したトリアージタグのつける位置ですが、傷病者の右手につけるのが原則です。

切断などの場合

四肢の切断などの理由で右手につけれない場合は、左手首→右足首→左足首→首という順になります。

紛失のリスクがあるため衣服・靴には装着しない、ということを徹底してください。

 

最後に災害トリアージを勉強したい人におすすめの本を紹介しておきます。

今回取り上げた内容をさらに詳しく学べるだけでなく、一次・二次トリアージの模擬訓練、応急処置などについても学べます。

まとめ

災害トリアージの基本として、START法、PAT法、トリアージタグの取り扱いについて説明しました。

トリアージをする前に確認すべきこと、CSCATTTとは|災害医療の基本原則を救急医が解説、の記事も参考にしてください。

なかなか実戦経験を積む機会が少ないのが災害医療の難しいところですが、ぜひ訓練などに積極的に参加してください。

その時に今回の記事の内容を振り返っていただければありがたいです。

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