夜中になんとなく血圧を測ってみたら、180/90
「普段はこんなに高くなることないのに・・・これってこのままほっといていいのかな?」
こんな不安を感じた経験がある方がいるかもしれません。
実際に、血圧が高いことを不安に感じて夜間に救急外来を受診される患者さんは少なくありません。
では実際どんな時に救急外来を受診すべきか?
そして「血圧が高い」という訴えで患者さんが救急外来を受診した時に救急医は何を考えて診察をするのか?
をお話ししようと思います
目次
血圧が高い以外にも症状がある場合は救急外来受診を
血圧が高いことに加えて、頭が痛い、胸が痛い、息が苦しいなどの自覚症状がある場合は脳卒中や心筋梗塞など重大な病気の可能性があるので救急外来を受診する必要があります。
なので、患者さんが血圧が高いことを心配されて救急外来を受診された場合、救急医はまず「血圧が高い以外に上記のような症状は無いか?」を必ず聞きます。
もしも脳出血や心不全などの状態で血圧が高ければ、救急医は血圧を下げる薬を点滴で投与します。
血圧が高い状態が持続すると脳出血や心不全の症状が悪化する可能性があるからです。
一方で、単純に血圧が高いだけで脳出血や心不全などの症状が無ければは急ぐ必要はありません。
血圧が高い以外に自覚症状が無ければ、まずは静かなところで休む
特に自覚症状が無くて、血圧が高いという場合の対応は、まず気持ちを落ち着けて体を休めます。
血圧を下げる薬を点滴したり、内服したりしないの?という疑問があるかと思いますが、
実は特に症状がない場合に急激に血圧を下げることは危険な場合があります。
特に高齢の患者さんなどでは急激に血圧を下げることで脳梗塞や心筋梗塞を起こすリスクがあると言われています。
血圧が急激に下がることで、脳や心臓の血管が元々細くなっているところがあると、必要な血液が届かなくなってしまうことがあるのです。
どのくらいの時間で、どこまで血圧を下げれば良いのか?という具体的な事は実はよくわかっていません
ですがおそらく数時間から数日の単位で徐々に普段の値に近づけば良いだろうというのが一般的な考えです
なので、最初からいきなり薬を処方することは基本的にはしません。
まずは心配しすぎなくても大丈夫であることを説明し、救急外来にある経過観察するためのベッドで横になってもらい、可能であれば部屋を暗くして休んでもらいます。
不安な気持ちが強すぎたり、救急外来という騒がしくて慣れない環境にいるというだけでも血圧は上がってしまいます。
静かな場所で30分ほど休むことで血圧が20程度は下がるという研究もあります。
それで様子を見ても下がらなければ血圧を下げる薬を飲んでもらうことになります。
薬を飲んだ場合でも、すぐにいつもの血圧まで戻る必要はないので受診時の血圧よりもある程度下がっていれば自宅で様子を見て問題ないでしょう。
救急外来で血圧を下げる事よりも、最も大切な事は普段の血圧コントロールをしっかりする事です。
なので帰宅時には平日日中にかかりつけの先生と血圧の薬について相談するよう説明しますし、特に普段からかかりつけ医を持っていない方にはまずはかかりつけ医を持つことを強く勧めます。
まとめ
- 血圧が高いだけでなく、頭が痛い、胸が痛い、息が苦しいなどの症状があれば救急外来受診を!
- 血圧が高い以外に症状が無ければ、急ぐ必要はなく、まずは静かな環境で休めば血圧は下がることが多い!
- 最も大切なのは普段からの血圧コントロール!かかりつけ医を持とう!