子育て中のお父さん、お母さん、本当にお疲れさまです。
こどもさんの成長過程では様々な事故のリスクがあるのはみなさんが誰よりも感じていることだと思います。
救急医をしていると様々な事故の結果として救急外来を受診されるこどもさんを診察する機会があります。
その中でも多いのが“やけど”です。
全身の皮膚が水ぶくれになってしまって痛くて泣いているこどもさんの処置をしながら、どうすれば防ぐことができるのだろう、といつも思っています。
少しでもみなさんのお子さんを守るためのお役に立てればと思い記事を書いています。
目次
やけどは跡が残る!だからこそ予防が大切
“やけど”はごく軽いものであれば別ですが、基本的には跡が残ると考え方が良いと思います。
病院に行って処置を受ければ跡は残らないのでは、と思われるかもしれませんが、残念ながらそうとは言い切れません。
跡が残るかどうかはやけどの深さや広さ、そして治療過程で感染を起こしたかどうか、体質など様々な要因が関係してきます。
ですので、受診直後に「跡は残りますか?」とほぼ全てのご両親に聞かれるますが、
救急受診時には「経過をみないとわかりません」と答えるしかないのです。
やけどの跡が残るかどうか不安で後悔の思いがいっぱいのご両親の表情を見ると、予防が大切さをいつも感じます。
やけどの原因で多いのはお湯
こどものやけどの原因で多いのは“お湯”です。
電気ケトル
その中でも特に危険なのは電気ケトルです。
電気ケトルとポットの違いは、電気ケトルの場合は倒れた時にお湯が流れ出てしまうことです。
これはお湯が沸いたらすぐに注げるようにするためのようですが、何かの拍子に電気ケトルが倒れるとお湯がそのまま流れ出してしまいお子さんのやけどにつながります。
実際の例では、床に電気ケトルを置いていたところちいさなこどもが倒してしまい受傷。
もうひとつの例はダイニングテーブルの上に電気ケトルを置いていて、コードが下に垂れ下がっており、そこにこどもが引っかかって電気ケトルが倒れて受傷。
このように親が目を離したすきにこどもが電気ケトルを倒してしまうとそのまま熱湯がかかってしまうのです。
最近では転倒予防機能がついた電気ケトルも出てきていますが、古いもの、実家で昔から使っているものなどは危険です。
食卓の上のコーヒや味噌汁
電気ケトル以外でも、食卓の上にあるコーヒーやお味噌汁なども危険です。
もちろん手の届かないところに置く、が基本なのですがそれが難しい場面があります。
親が食事をしているときに小さいこどもが泣いたので、お母さん(お父さん)が抱っこしながら食事をしたり、コーヒーを飲んでいる時が危険です。
お母さんはこどもをあやしつつコーヒーや味噌汁を飲むのですが、その場合どうしてもこどもの手が届く範囲に置いてしまいがちです。
僕も実際にこども泣いてしまうこどもを抱っこしながら食事をした時に、こどもの手が届かないところにコーヒーを置くと、自分も届かないため、結局近くに置いてしまう、というのを実感したことがあります。
食卓に熱い液体が置かれている状況であれば、
- 食卓(ダイニングテーブル)のはじから30cm以内には置かない
- こども抱っこしない(ベビーチェアに座らせる)
を徹底する必要があります。
ちなみに僕は自分のこどもが生まれる前は
「こどもが生まれたらやけどをさせないために、大きくなるまではコーヒーも味噌汁も我慢しよう!」と思ったこともありました。
でも食事は日常ですので、実際にはそんなこと言ってられないこともよくわかりました。
なので現実的な対策として上記のことを注意していくことが大切かなと思っています。
まとめ
みなさんのお子さんをやけどから守るための予防の大切さについてお話ししました。
こども事故の原因はまだまだ他にもありますが、いずれも予防できる可能性あります。
興味のある方は消費者庁のこども事故防止ハンドブックも参考にしてみてください。