採血で失神するのはなぜ?原因と注意すべき失神を救急医が解説

患者さん向け

病院を受診したときや健康診断で採血をした時に、突然目の前が暗くなって意識を失う・・・

自分でそんな経験をしたり、目の前で人が倒れるのを見たことがある人もいるかもしれません。

なぜ採血で失神するのでしょうか?

ここでは

  • 採血で失神する原因は?
  • 採血以外で失神しやすい状況は?
  • 失神で病院を受診する必要があるのはどんなとき?

について、救急医が医療従事者でない一般の方向けにわかりやすく解説していきます。

採血で失神する原因、迷走神経反射とは

採血で失神する原因は迷走神経反射とよばれるものによって、血圧が下がり、脳への血流が減ることで一時的に意識がなくなってしまうことによります。

“脳への血流が減る”といっても、あくまでも一時的なものであって怖い病気ではなく、障害が残ったりすることは無いので安心してください。

迷走神経は副交感神経の一つです。

副交感神経というのは体をリラックスさせる働きを持っている神経です。

これが過剰に働いてしまうことで、心臓の脈が遅くなったり、血管が緩んだりすることで血圧が下がります。

採血の痛みや恐怖など、体にストレスがかかったことがきっかけとなり、体を休ませようとして副交感神経である迷走神経が過剰に働いてしまうと言われています。

ちなみに“迷走”神経という名前の由来は、この神経が脳から心臓、お腹の中の腸や膀胱など、いろいろな場所に伸びていて、迷走しているように見えるからだという説が有力です。

なので採血以外にも様々な原因で迷走神経反射が起こりえます

迷走神経反射を起こしやすい状況とは

採血以外に、迷走神経反射を起こす原因はいろいろあります。

  • 排尿・排便
  • 嚥下(食べ物の飲み込み)
  • 恐怖・驚きなどの感情

などが代表的です。迷走神経は体中を迷走しているのでいろんな刺激が誘因となる可能性があるのです。

またアルコールを摂取した状態も迷走神経反射を起こしやすいです。

酔っ払った状態もリラックスしているので副交感神経が作用しやすいのはイメージしやすいですよね。

酔っ払った男性が立ったまま排尿して、失神するというのはよくあるパターンのひとつです。

迷走神経反射が疑わしい状況ですぐに意識が戻っていれば必ずしも病院を受診する必要はありません。

では病院を受診すべきときはどんなときなのでしょうか?

病院を受診すべき危険な失神のサインとは

失神の原因は迷走神経反射が多いのですが、中には病院を受診するべき怖い病気が原因となっている失神もあります。

怖い病気の代表として不整脈などの心臓が原因の失神があります。その特徴は

  • 運動中に発症する
  • 失神の直前に動悸が先行する
  • 胸痛を伴う
  • 呼吸苦を伴う

などです。

もしもこれらに当てはまる、もしくは迷走神経反射を起こす典型的な状況に当てはまらない失神をした場合は、今は元気だったとしても病院を受診してください

また失神の原因に関わらず、意識を失った時に頭を打ったり、怪我があるときには病院を受診する必要があります。

まとめ

採血の時に失神する原因としての迷走神経反射についてお話ししました。

これまでに採血で意識を失った経験がある人は、採血を受ける時にあらかじめ看護師など医療スタッフに伝えておくと良いです。

ベッドで横になった状態で採血をしたりすることで、意識を失っても頭をうつリスクを減らすことができます。