悪寒戦慄の定義と菌血症に対する尤度比を解説|血液培養はいつとるか?

研修医・若手医師
 82才 男性
主訴:発熱 震え
来院当日の朝から38℃の発熱あり、様子を見ていたが昼頃に全身の震えがあり、布団をかぶっても震えがおさまらず救急要請

なんかブルブル震えてたみたいだけど今は落ち着いていそう!検査はどうしようかな・・

これは悪寒戦慄だね!血液培養を取っておこう。

悪寒戦慄??

悪寒戦慄の定義と菌血症に対する尤度比

悪寒戦慄の定義(悪寒の程度)と、菌血症に対する尤度比は以下の通りです。

悪寒の程度と尤度比
  • 軽度悪寒mild chills  +LR:1.81
     
    (重ね着で震えが収まる)
  • 中等度悪寒moderate chills  +LR:2.70
    (布団を重ねてかぶると震えが収まる)
  • 悪寒戦慄shaking chills  +LR:4.65
    (布団を重ねてかぶってもブルブル震えている)

「+LR」は陽性尤度比のことで、陽性であった場合にどの程度疾患の可能性が上がるかを示しています。

尤度比って何だっけ?という方は、臨床推論とは|検査前確率・尤度比を使った閾値モデルの考え方を基本から解説、の記事も参考にしてください。

悪寒戦慄は+LR4.65と高く、断定はできないものの菌血症を疑って対応するのが妥当と考えられます。

また悪寒戦慄ではない中等度の悪寒であったとしても菌血症の可能性は上がるので、その他の状況と合わせて判断していくことになります。

血液培養はいつ採取すべきか

血液培養を採取するべき状況は「菌血症を疑う時」ですが、明確な基準があるわけではありません。

少なくとも悪寒戦慄があれば菌血症の可能性が上がるので血液培養を採取するのは必須と考えられます。

筆者は以下の場合は血液培養を採取すべきと考えます。

血液培養が必須な状況
  • 悪寒戦慄
  • qSOFA2点以上
  • 発熱+バイタルサインの異常

qSOFAは敗血症の早期認識のためのツールです。qSOFA2点未満でも敗血症は否定できません。

なので発熱+バイタルサインの異常でも敗血症は否定できず、菌血症の可能性も十分あるため血液培養は必須と考えます。

qSOFAについて詳しくは、qSOFAスコアとは|敗血症のスクリーニングツール、の記事も参考にしてください。

これら以外にも発熱+高齢者は血液培養を考慮すべき状況です。

高齢者はバイタルサインの異常が出にくく、感染源も症状からは分かりにくいことがあります。

血液培養の結果が唯一の手がかりとなることもあるため、検査の閾値は低く設定しておいていいでしょう。

まとめ

悪寒戦慄の定義と菌血症に対する尤度比について解説しました。

悪寒戦慄があれば迷わず血液培養採取しましょう。

悪寒戦慄がない場合の血液培養の適応についてはqSOFAやバイタルサインなど、その他の情報を考慮して判断していくことになります。

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