耳かきをしていたら、突然飼っている犬が飛びかかってきて耳かきが奥まで入ってしまった!激痛が走って、なんだか耳が聞こえにくい
これってもしかして鼓膜が破れちゃったのかな・・・ 急いで救急受診しないと難聴になっちゃうのかな?
そんな疑問にお答えします
目次
鼓膜は破れても2−3週間で再生する
鼓膜が破れた!というと一大事な気がしますが、あわてなくて全然大丈夫です。
鼓膜は破れても皮膚の傷などと同じようにまた再生するのです
なので一時的に聞こえにくくはなりますが、基本的には元のように聞こえるようになりますので安心してください
救急外来で特別な処置は不要ですので夜間や休日に急いで受診する必要はありません。鼓膜や外耳道の傷の経過を診るために平日の日中に耳鼻科を受診するようにしてください
まず起こりえませんが、鼓膜のさらに奥にある耳小骨の部分に傷がついた場合には理論上は聞こえにくさが残る可能性があります。
ちなみに救急医を10年以上やっていますが、実際にそこまで深く突き刺してしまった患者さんは診たことがありません。いずれにせよ救急外来では緊急で処置する必要は無いので平日の日中に耳鼻科を受診してもらうで良いです。
もちろん痛みが強くて痛み止めが欲しい、出血が止まらないなどの場合は救急外来を受診してください
繰り返しになりますが、急いで受診しないと耳が聞こえなくなるということは全くないので安心してください
耳かきをする時に注意すべきこと
鼓膜が破れたかもしれない時のことをお話ししましたが、最も重要なのは予防です。
そもそも鼓膜が破れるほど耳かきを奥に入れない事が重要ですが、普通に耳かきしていてを鼓膜に届くまで入れることはまずありえません。
理由は鼓膜に届く前の場所に耳かきが入ると痛いからです。
耳の穴は奥のほう3分の2が骨性外耳道といって、知覚が鋭敏なため触れただけで痛みを感じます。なので鼓膜に届く前に、痛いのでそれ以上入れないでおこうとなるのが普通です。
それなのになぜ鼓膜が破れてしまうまで深く耳かきを入れてしまうのか
来院される患者さんのほとんどは、
「耳かきをしていたら、飼っている犬が突進してきて奥まで突いてしまった」
「耳かきをしていたら、走り回っていた子どもが当たって奥まで突いてしまった」
と言って来院されます。
耳かきをする時は周囲に動物や小さな子どもなど、予測不能な動きをするものが無いことを確認して行うことが大切です
そもそも耳かきは必要か
最も確実な予防方法は「耳かきをしないこと」です。
結論から言ってしまうと耳かきは医学的には不要です。
外耳道の感染症や腫瘍はほぼ耳かきが原因と言われており、むしろしない方がいいというのが医学的な事実です
ただ「耳かきは気持ちいいし時々はしたい」という気持ちもよくわかるので絶対にするなとまでは言いませんが(耳鼻科医の先生は絶対にするなというかもしれませんが)
少なくとも頻回にするのはおすすめしません。そして耳かきをする時は周囲に十分注意してください。
まとめ
- 耳かきで鼓膜が破れたとしても救急外来を受診する必要はない(痛みが強い、出血が止まらない場合は除く)
- 耳かきをする場合は周囲に動物や小さな子供がいないことを確認する
- そもそも耳かきをしない事が最大の予防