子育て中のお父さん、お母さん、本当におつかれさまです。
赤ちゃんが泣き止まない時、辛いですよね
なんかいつもと違って全然泣き止まないけど、これって何かの病気だったりするのかな?
でも泣き止まないってだけで救急を受診してもいいのかな?
など不安に思うことがあるかもしれません。
救急医をしていると「赤ちゃんが泣き止まない」「泣き方がおかしい」という症状で救急外来を受診されるこどもさんを診察する機会は少なくありません。
そして僕自身が子育ての真っ最中ですが、泣き止まない子どもかかえて何度も不安になった事があり、みなさんの気持ちが痛いほどわかります。
赤ちゃんが泣き止まずに不安に感じているお父さん、お母さんに“泣き止まない赤ちゃん”を診る時に救急医がどんな事を考えているかをできるだけわかりやすくお話しさせていただきます。
目次
赤ちゃんが泣き止まない原因は頭から足の先までありえる
おそらく「泣き止まなくて困る」という時点で、①ミルクをあげる②オムツを替える③抱っこをするの3点セットは試された後だと思います。
それでも泣き止まないからといって必ずしも病気を心配する必要はありません。
黄昏泣き(コリックと呼ばれることもあります)という言葉は聞かれた事があるかもしれません。原因はわかっていませんが夕暮れにかけて泣く事が多いのでこう呼ばれています。病気では無く、成長とともに無くなると言われています。
では病気が原因だとすれば、どんな病気なのか
原因は頭から足の先まで原因はありえます。
代表的な原因をいくつか紹介します。
感染症
感染症でしんどくて不機嫌になるということはよくあります。髄膜炎や敗血症と呼ばれる重篤な病気のサインの場合があります。
重症の感染症ではありませんが、中耳炎の痛みで泣き止まない場合もあります。
熱があって機嫌が悪い場合、特に生後間もないお子さんの場合はすぐに受診しましょう。
角膜潰瘍
赤ちゃんは無意識のうちに顔を触ったり、目をこすったりしているのはよく見るかと思います。
そのときに指や爪が眼に当たったて角膜という眼の表面に傷がついて痛みが出ることがあります。
これは気がつくのは非常に難しいのですが、赤ちゃん爪をこまめに切ってあげることである程度予防はできます(こまめに爪切りするのも大変ですが、できる範囲で頑張りましょう)
不整脈
不整脈が出ると、大人であれば動悸を感じます。赤ちゃんは不快感を全て泣く事で表現するので、これも泣き止まない原因となりえます。
不整脈が出ているかどうかは病院を受診して心電図モニターをつける事でわかりますので受診が必要な原因の一つです。
腸重積
一般的には生後6ヶ月以降から発症が増えるお腹の病気です。
腸が腸にはまり込んで抜けなくなってしまう病気で、お腹が痛くなります。泣いたり泣き止んだりを繰り返す(20-30分くらい泣いていったん泣き止んでまた泣く)のが特徴です。
血便が出る事が特徴とされますが、発症初期はただ泣くだけの事も多いです。
鼠径ヘルニア
足の付け根の部分にお腹の中とつながる小さな穴があり、そこから腸の一部がはみ出してしまう病気です。
「腸がはみ出す」といっても皮膚の下での話ですので、外から見ると皮膚の一部が盛り上がっているだけですので、よく観察しないとわかりません。
はみ出した腸が戻らずに穴にはまってしまうと痛みが出ます。
おむつかぶれ
「かぶれ」というと痒いようなイメージかもしれませんが、おもつかぶれがひどくなると、皮膚がヤケドのようにただれます。そこにおしっこやウンチが触れるととても痛いのです。
僕も自分の娘がこの状態になり(しかも妻の出張中に)おしっこやウンチのたびにギャン泣きする娘を前に、辛い思いをしました。
対応としては軟膏を塗って、排便のたびにシャワーで洗ってあげること(下痢を何回もしてる時はこれが地味に大変ですが)です。
ヘアターニケット
髪の毛や糸くずが、赤ちゃんの指にからまり血液が流れなくなってしまい痛みが出ます。髪の毛が指にからまるなんて自然に起きるの?と思うかもしれませんが、僕も実際の患者さんで経験があります。
原因ははっきりしたことはわかっていませんが、産後のお母さんの抜け毛が増えることも一つの要因かもしれません。
手足の指を観察して、見つける事ができれば髪の毛や糸を切ってあげれば大丈夫ですが、うまく切れない、泣き止まない場合は受診しましょう。
上に挙げた以外にも原因はまだまだ考えられますが、原因は全身にあるんだ、というイメージはご理解いただけたと思います。
普段の泣き方と違う、なんとなくおかしいと感じたら受診を
受診をするかどうかの判断は迷うかと思われますが、一つは普段の泣き方と違う場合は受診を検討してください。
あとは抽象的な表現になりますが、「なんとなくおかしい」という場合も受診を検討すべきです。
お母さん(お父さん)は毎日その子の様子を見ていてその子の普段の様子を誰よりも知っています。
そのお母さん(お父さん)の「なんとなくおかしい」という感じは大事な情報ですので医師も重視しています。
もちろん受診したけど結果的に何も無いということも実際多いのは事実です。
ですが、救急医は上記のような病気が隠れていることを知っているので、「赤ちゃんが泣き止まない」で受診される事があたりまえのことだと思っているので安心してください。
受診して結果的に何もなければ、それはそれで「何もなくて良かった」と救急医と一緒に喜びましょう。
まとめ
- “赤ちゃんが泣き止まない”の多くは病気ではないが、病気であれば原因は頭の先から足の先まである!
- 受診を考えるタイミングは、いつもと泣き方が違う、なんとなくおかしいと感じたら!お父さん、お母さんの感覚は医師も重視している。
- 「赤ちゃんが泣き止まない」で受診することは、救急医にとって当たり前のことなので安心して受診を!