初心者にとって救急外来でルートとる(静脈路確保)のって簡単じゃないですよね。
患者さんの状態も悪い事が多いし、みんな急いでるから無言のプレッシャーもあったり
「ルート上手くなるコツってありますか?」と先輩に聞いても
「まあこれは数をこなすしかないよねー」なんて言われたり
僕も研修医1年目のころは本当に苦手でした。
でもかつてルート確保が苦手だったからわかる、初心者が知っておくべきコツがあります。
経験を積むことももちろん必要ですし、手技を文章で説明することには限界がありますが、あえて文章で伝えておきたい初心者向けのルート確保のコツを紹介します!
初心者の方は、血管に針が入っているのに採血が引けない!そんな時に試すべきたった一つのコツ、の記事も参考にしてください
目次
ルート確保のコツ①静脈路確保に適した血管を探す事に集中
ルート確保が上手い人と初心者の一番の違いは実はココです
ルート確保は1回目を失敗すると途端に状況が悪くなります
患者さんからのプレッシャーも増えますし(当然ですよね)何より自分の気持ちも焦ります。
上級者は1回で仕留めることの重要性を痛いほど理解しているので、一番いい血管を探します(上級者は見つけのが早いので探してる感は出ませんが)
いい血管の定義は人によっても若干変わるかもしれませんが
一言で言うならば「まっすぐで太すぎず細すぎない」
です
そんなのあたりまえだろ!と思うかもしれませんが、もう少しだけ聞いてください。
これが意識できていない初心者は意外と多いです。
太ければ太いほどいいような気がしますが、太くて浮き出ているような血管は初心者には難しいです。
なぜなら太くて浮き出るような血管は逃げやすいからです
さらに太い血管は血管の壁も厚いので、血管に当たった後にさらにしっかりと針を進めないと外筒を留置できません
慣れてくれば大丈夫ですが、初心者のうちは避けたほうが無難です
あくまでも太すぎず細すぎず、まっすぐ走行している血管に狙いを定めましょう。
ルート確保のコツ②血管を決めたら“育てよう”
一つ目のコツは、ルート確保に最も適した血管を探す、でした。
そしてこれだという血管を見つけたら“育てましょう”
左手の指先で(左利きの人は右手で)血管をトントンと叩きます
するとさっきまでは「太くもなく細くもない」だった血管がしっかりとした太さになり刺せそうな感じになってきます
(すでに十分太い血管は育てなくて大丈夫です)
初心者の人が血管を探していて「ちょっと血管が細くて私には無理そうです」と言ってきても、トントンして育ててあげると「あ、これなら刺せるかも」となることがけっこうあります。
ルート確保のコツ③外筒を進めるのは片手でする
ルート確保の最後の難関は外筒を進める時です。
右手で内筒を持って、左手で外筒を進める(左利きの人は逆)というのをやる人をけっこうみます
ところが救急外来の患者さんは意識が悪かったり、認知症があったりで予想できないタイミングで腕を動かしてしまう可能性が高いです。
なので左手で患者さんの腕を持って固定した手を離さずに、右手の人差し指で外筒を進めましょう。
「いやいや腕を別の人に抑えてもらってやれば」という声もあるかもしれません。
残念ながらルート確保するのに2人も人手をさけないくらい忙しいのが救急外来です。
最終的には1人でも(介助者無しでも)ルートをとれないと話にならないので、最初から片手で外筒を進める癖をつけましょう。
ルート確保のコツ番外編:失敗した時こそ上手い人の手技を盗むチャンス
これは厳密には「ルート確保のコツ」とは言えないですが、最終的に上級者になるために必要なコツなので紹介します。
それは上級者の手技を「見て盗む」ことです。
これまでに紹介した3つのコツを意識しながら、それぞれのポイントで上級者がどのような動きをしているかを観察してください。
なんとなく見ていたこれまでと違って、具体的に自分と何が違うのかがはっきり見えてくるはずです。
ただ自分が関わっていない症例でルート確保だけ見に行くというのも少し不自然で難しいですよね。
なので自分が失敗した時に、上級者に代わってもらった時がチャンスです。
ただ黙って見ていると別の仕事を指示されてしまうかもしれないので介助につくふりをしながら手技を観察するのがコツです。
まとめ
ルート確保のコツ、について初心者向けに解説しました。
- まずは一番いい血管を探す事に集中
- 血管を決めたら“育てよう”
- 外筒を進めるのは片手でする
番外編として“失敗した時こそ上級者から技術を盗むチャンス”というお話をしました。
今はうまくいかないことが多くても大丈夫です。
これらのコツを日々積み重ねれば必ず上手くなります。
そしてあなたが上級者となった時には後輩が失敗した時にも快く指導してあげてください。